君なくは(きみなくは)
なぞ身装はむ(ぞみよそはむ)
櫛笥なる(くしげなる)
黄楊の小櫛も(つげのをぐしも)
取らむとも思はず(とらむともおもはず)
意味:
あなたがいないなら
どうしてこの身を飾りましょう
化粧箱の中にある
ツゲの櫛も
取ろうとは思わない
作者:娘子(播磨国(兵庫県)の女性、正式な名前は不明)
この歌は、石川大夫(いしかわのまつえきみ)が解任されて京へ戻るときに、播磨の女性(遊女?)が作った歌です。石川大夫については石川朝臣君子が、霊亀元年(715年)に播磨守に就任していますのでこの人物と考えられています。