泊瀬の(はつせの)
斎槻が下に(ゆつきがしたに)
我が隠せる妻(わがかくせるつま)
あかねさし(あかねさし)
照れる月夜に(てれるつくよに)
人見てむかも(ひとみてむかも)
意味:
泊瀬(昔宮があった)の
神聖なケヤキの下の
私の隠し妻
茜色に美しく映える月夜に
人が関係を結んでしまうかもしれない
歌の最初の「泊瀬の 斎槻が下に」は必ずしも具体的な場所の意味ではなく、神聖な秘密の場所の意味で使われているものと思います。この歌は普通の57577の歌ではなく、577577の旋頭歌(せどうか)になっています。旋頭歌では、上の句と下の句で、少し違った内容が歌われます。「槻(ツキ)」は「ケヤキの古名」です。「斎槻」は「神が宿る槻」の意味になります。