万葉集で言う都鳥(ミヤコドリ)とは、カモメ科のユリカモメのことと言われています。これ以外にも現在、都鳥(ミヤコドリ)呼ばれる鳥がいます。この混乱がどこから来たのかというと、藤原業平の伊勢物語の中で、ミヤコドリの姿を白い鳥で嘴と足が赤いと説明していますが、そのような鳥は、現在ユリカモメと呼ばれています。これに対して現在は黒い鳥で嘴と足が赤い鳥をミヤコドリと読んでいます。このように昔のミヤコドリは白で今のミヤコドリは黒ということで別ものということになっています。たくさんのミヤコドリの歌があれば、もっと分かることもあったかも知れませんが、万葉集には都鳥の歌は次の一つしかありません。
15.1 万葉集 4462
第20巻4462
舟競ふ 堀江の川の 水際に 来居つつ鳴くは 都鳥かも
ふなぎほふ ほりえのかはの みなきはに きゐつつなくは みやこどりかも
意味:
船が先を争う 難波の堀江川の 水際に 来て留まって鳴くのは 都鳥でしょうか
作者:
兵部少輔大伴家持(ひょうぶしょうゆうおおとものやかもち)難波の堀江川については、12.5章の2135に出てきました。堀江は掘って水を通した人工の運河、ここでは大和川を大阪湾に流すために作った人口の運河、大阪湾の砂の流れや地形の複雑さから大和から流れ出る大和川の水の排水が悪く、これを改善するために古代に工事をしたという。