ホトトギスは、平地から山地の明るい林に生息するというが忍川周辺には、生息していません。ホトトギスは、鳴き声が「特許許可局」ということで有名な鳥です。ただ語尾は不安定で「特許許可」になったり「特許許可局」なったりします。身長は28cm程度で、胸は白系、背中は茶色系、頭は薄茶色系です。ホトトギスは、渡り鳥で、初夏に日本全国の山や平地に飛来して、寒い冬は暖かい国に渡りをします。卵は、チョコレート色で、卵の似ているウグイズなどの巣に入れて抱卵される。これを托卵(たくらん)という。ウグイス以外にもホオジロやアオジなどにも托卵する。
万葉集においてホトトギスが出てくる歌は、151首あり、万葉集の中で歌われた鳥としては最も多い。作者の合計人数は30人です。作者の中心は大伴家持であり、大伴家持の歌が、62首あります。大伴家持以外の大伴姓の人の歌が18首あります。37首の作者は不明です。これらの合計歌数は、111首になります。残りの人たちの中には、大伴家持の友人だったり、歴史に深く関係した皇室関係の人だったりしています。また、ホトトギスは大伴家持を中心として人たちが和歌の「お題」にすることが多かったことが、ホトトギスの歌がたくさん作られた理由であると思います。
万葉集では、たくさんの歌で5月の節句の薬玉を作る月にホトトギスは飛来して鳴き声を響かせると歌われています。多くの歌で、ホトトギスの声を薬玉に擦り込むと歌われていて、当時の節句の一つの行事になっていたようです。5月というのは旧暦ですので、新暦でいうと、5月の中旬から月末の頃になります。ホトトギスは橘の花や藤の花の近くに見られて、歌でもこの組み合わせで歌われるています。藤の花の揺れる様子は、藤波と呼ばれ、ホトトギスは藤波に見え隠れすると歌われます。
ホトトギス以外の歌では、情景を形容するものとして鳥を使ったりすることが多く、鳥そもものが歌の中心となっているものは多くありません。しかし、ホトトギスの歌では、ホトトギスそのものを歌ったり、自分の気持ちをホトトギスにかけて歌ったものが多い。実際は、多いというよりも大半です。このように、ホトトギスのことを歌いながら自分の気持ちを表現すしていることが、ホトトギスの歌の特徴です。このような理由で、ホトトギスの歌のバリエーションは、他の鳥の歌に比較して非常に多様化しています。