我が背子が(わがせこが)
捧げて持てる(ささげてもてる)
ほほがしは(ほほがしは)
あたかも似るか(あたかもにるか)
青き蓋(あをききぬがさ)
意味:
あなたが
両手で高くさしあげる
ホオノキは
良く似てますね
貴婦人や高貴の人の後方を飾る絹笠に
作者:講師僧恵行(こうじそうえぎょう)
この歌には「天平勝宝2年4月12日に布勢の水海の遊覧し、多胡の湾に船泊して、藤の花を望み見ておのおのが思いを述べて作る歌」という題詞が付いていて、この後、8首の歌が記載されている。この会のトップは、家持で下に4人の部下が参加している。参加者の一人が講師僧恵行で、この人は国師という地位の越中国分寺の僧侶です。この人が歌で、我が背子と持ち上げているのは、大伴家持(越中守)です。
「布勢の水海」は、かって富山県氷見市にあった大きな潟湖(砂洲により海と切り離された湖)で現在は、ほどんど埋まってしまっているが、かって大伴家持が何度も舟遊びをしたところで万葉集に出てきます。
ホオノキ:
かつては、この碑の傍にホオノキがありましたが、最近は、樹勢の衰えが激しくなり、切られてしまいましたが、この碑より、少し南に別のホオノキがありますので、そちらの写真を載せておきます。
ホオノキ
春先にホオノキには、大型の花が付きます。
ホオノキの葉は、枝の先に円周状の葉を付け、傘のような形になります。この傘の形を「貴婦人や高貴の人の後方を飾る絹笠に似ていると歌っているのです。
ホオノキは、かつて下駄を作る材料として使われました。ホオバと言って下駄の歯がすり減った場合、下駄の歯の部分のみ差し替えて下駄を再生することが行われていました。ホオノキは、材質が柔らかく軽かったため下駄として使い易かったのですが、歯が減り易かったので工夫されていたのです。