礒の上の(いそのうへの)
つままを見れば(つままをみれば)
根を延へて(ねをはへて)
年深からし(としふかからし)
神さびにけり(かむさびにけり)
意味:
磯の上の
タブノキを見れば
根を長く延ばして
年月が経っているようだ
なんと神々しいことだ
作者:大伴家持(おおとものやかもち)
ここから始まる7首の歌には、次の説明と題詞がついている。
「季節は春3月9日に出挙(春に公の稲を貸し、秋に利子を付けて返済させること)の政(まつりごと)にあたって射水郡(いみずぐん)の古江村に行く途中で、美しい風景を見て歌う、合わせて、興味を持って作る歌」
さらに、この歌の題詞は次の通りです。
「渋谿(しぶたに、高岡市雨晴の海岸)の崎を過ぎて、巌(いわ)の上の樹を見る歌」
「つまま」はタブノキであるとされ氷見市周辺によくあるという。大伴家持は氷見市近くでたくさんの歌を詠んでいる。氷見市では、市民の公募により「つまま」が「市の木」に選定されいる。
タブノキ:
タブノキは、海岸近くに自生するクスノキ科の常緑樹で、樹高が最大30mにもなる。直径も3.5m程度までなるので、丸木舟の材料として使われた。