さきたま緑道の野草 その1

前回、さきたま緑道の春を探すために、緑道の野草を見てきました。

今回、その後の変化について観察するために、同じ道を辿り、大きな変化に驚きました。それは、ほとんどの野草が芝生と一緒に刈り取られ、多くが消えてしまったことです。

しかし、さきたま緑道の西側のコンクリートの側道には、野草たちが元気に育っていました。今回は、コンクリートの隙間に育つ野草たちを観察してみました。

ヨモギ

最初に現れたのは、ヨモギです。ヨモギは餅草とも呼ばれ、10cm程度までの背の低い時期に収穫して茹でて、餅と混ぜるとヨモギの香りの草餅ができます。かつては、ヨモギの代わりにハハコグサを餅に入れて草餅にしたという。ハハコグサは、ホウコグサが訛って、ハハコグサになったもので、春の七草の一つであり、七草粥などにかつては入れられたというが、現在は食用に使われることはない。

ハハコグサ

 

この下の野草はヒルガオです。

ヒルガオ

滋賀県の守山市の琵琶湖の水辺には、ハマヒルガオの群生地域があります。

ハマヒルガオ

ハマヒルガオは、通常は、海岸の砂地に群生する植物ですが、何故、真水の琵琶湖の沿岸に群生するのかを調査した結果、琵琶湖は400万年前には、海とつながっていてその後の地殻変動で40万年前に現在の位置に来たということで、ハマヒルガオのような海洋植物が内陸に定着しているということです。ハマヒルガオ以外の海浜植物も琵琶湖の周辺に定着しているものがあるということです。

考えて見れば、我々の住んでいる埼玉県は、東京湾が近くまで入り込んでいて海に面していたし、秩父は海の底だったというが、海浜植物が発見できたら面白い。この辺でも、ハマギクやイソギクの海浜植物が栽培種として販売されている。現在は栽培品種になっているが、野生のハマギクやイソギクが大量に内陸にあれば内陸に閉じ込められた海浜植物ということになるでしょう。

 

次の花は、ヘラオオバコです。シックな美人のような花で、葉が綺麗です。

ヘラオオバコ

ヘラオオバコは、つぼみの円周上の花が咲き、次第に円周が上に向かいます。この花は、埼玉古墳群の芝生の中などに大量にありますが、定期的に芝刈り機で刈られてしまいますので、このような立派な葉を付けることはなくヒョロヒョロになっています。このようなアスファルトとコンクリートの隙間の1ミリも無いような限られた場所ですが、競争相手がないので豊に成長しています。この花は、最大80cm位に成長します。ヘラオオバコは、ヨーロッパ原産で、幕末の頃渡来したもので「帰化植物」と言われます。

「帰化植物」に対して「外来植物」という言葉があります。帰化植物は、人為的に持ち込まれた植物で、野外で勝手に生育するようになったものの在来種と共生している外来種です。ただ、この言葉の定義は曖昧で、環境省指定要注意外来生物や日本の侵略的外来種ワースト100などいろいろな言葉や分類がある。